5602 清原事件24
2/21/16
清原事件、私見24。
ニックネームのジャミラは、ウルトラマンに登場した首がない怪獣の意味。千葉商大付属高で選抜に出場するも初戦敗退。夏は県予選の2回戦。しかし喧嘩早く物怖じしないプロ向き度胸を買われドラゴンズから2位指名。希望に満ちた入団となった。
ところが、入団当初、まだ十分、身体が出来ていないにもかかわらず、オープン戦からバンバン使われて、当時の首脳陣に壊された(と、私は思う)。
期待通りの活躍が出来なかったが、入団4年目にして、転機が訪れる。新監督に星野仙一さんが就任。向こう気が強く、攻めるタイプの平沼は、まさに星野好みの投手。星野監督も、平沼をバンバン使う、と就任時から公言していた。
しかし、そんな孫の勇姿を見ることなくじいちゃんが死ぬ。家庭の事情で、平沼を育てたのは両親ではなく、じいちゃんとばあちゃんの二人だった。だから、世間的にはじいちゃんといっても、平沼にとっては父さんと同じ存在だった。王選手が大好きだったじいちゃんが、定晴と命名してくれた、と平沼から聞いた。
市川の公営住宅の集会所みたいなところで、静かに行われた葬儀に、私は参列した。深夜、名古屋からタクシーで飛んできた、彼の目は真っ赤だった。顔を出してすぐ、その足で引き返し、チームと合流しなければならなかった。
悪いことは重なる。この年、新生星野ドラゴンズの投手陣の一角に、間違いなく名を連ねることが確定していたにもかかわらず、突然のトレード。落合だった。
落合の1対4でトレード。上川誠二、牛島和彦、桑田茂、そして平沼定晴。
実はこのトレード、他に類を見ない、複雑な構造で、事態は二転、三転、四転ほどした。つまり、ロッテサイドが要求する、トレード要員との折り合いがつかなかったのだ。
ロッテの要求は、エースの小松辰雄。これが絶対条件。そして、落合の穴埋めとして、内野手。中日の提示は上川誠二。
しかし、中日は、小松は絶対に出せない。何故なら星陵高校出身の小松は、中日新聞の北陸販売にとって欠かせぬ広告塔。北陸戦争といって、北陸地方は毎日新聞と中日新聞が、歴史的なバトルを繰り広げているため、小松をロッテにトレードしたら、不買運動は確実で、北陸販売の存続にもつながるからです。
しかし、ロッテは小松が出せないなら巨人と交渉する、と脅しをかけてくる。金銭トレードには応じない。カネなら中日新聞よりたくさんある。オーナーは韓国ロッテの重光さんだぞなもし。
投手2プラス上川でダメか?(中日)
ダメ〜(ロッテ)
小松に代わる投手を出せるのか?(ロッテ)
Aはどうか? ダメ〜!
じゃあBは? もっとダメ〜!
「ほら、ひとりおるやん、巨人にメチャ強くて、フォークボール投げるアニキ。9回でリードしてると、必ず出てくる子」(ロッテ)
「エ?まさか? あ、あの子はあきまへん。あの子もってかれたら、ウチら勝てませんやん」(中日)
「小松もアカン、牛島もアカンって、あんたらホンマに落合取る気あんの(怒)」(ロッテ)
そんな長〜いやり取りの末、ようやく星野監督が深夜に決断。「牛島を呼んでくれ」
しかし、牛島とて、正直、小松のとばっちり。玉突き衝突の寝耳に水。この時期に新監督から深夜の呼び出しとはピ〜ンときますよね。のこのこ出て来るわけがない。球界を代表するストッパー、「まさかオレ?」のキングカズ状態。心の整理が着くまで逃亡する。
しかし、水面下では小松の代わりの牛島、プラス上川、プラス投手A。の、3対1がほぼ合意で、投手Aは桑田で内定。これで、合意かと思いきや、ロッテが、それでは小松の代わりにならんと、さらに投手Bを要求。つまり4番手のトレード要員として、ロッテ側から伸び盛りの平沼が指名された、というわけなんです。
(つづく)