少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

312  アジア大会余波の広州

たとえば、W杯をあれだけ見せられた後、五輪のサッカーなんて、普通の人が興味を持つのでしょうか?その競技の関係者や、運営など営利が絡む人々は別として、国家をあげてという時代では、さすがにないでしょう。
この度、「アジア大会」などという「え〜まだ、そんなもんやってたの〜?」というスポーツの化石のような大会が来月あたりから、国家をあげて中国は私の住む広東省広州市で開催される・・・そうです。
08年北京五輪、10年上海万博&広州アジア大会。日本に例えるなら東京、大阪、名古屋の3大都市に世界的?なイベントを振り分け、全世界に新生中国をアピールしたいという党(すなわち国)の目論見ですが、残念ながら、当の人民の99%くらいは、それらに無関心、あるいは甚だ迷惑、といった感情で見つめているようです。
外面ばかりの右肩上がり経済は途方もなく孤独で、自分たちの着地点すら見いだせません。バブル崩壊へ一直線というのが、僕の素直な感想です。
賃金の強引な引き上げで工場は自滅。ストライキで大赤のトヨタもホンダも日産もケツまくる体制で、数年後には大量な失業者の海か山が出来るでしょう。世の中はすべて需要と供給のバランスで保たれています。そのバランスの崩壊は誰の目にも明らかなのに、この国には、それが見えない狂者が、まだまだ大勢いるのです。
いまなお建設ラッシュが続く空き部屋だらけの投資マンション。そして増え続ける不動産屋。「景気最高です」と連呼する彼らだが、僕の住む35階建の分譲マンション群を見上げても、明りの灯ってる部屋は半分もない、せいぜい3分の1くらいか。聞けばひとりで複数の部屋を投資目的で購入している個人資産家がたくさん居るそうだ。
日本と比べ、いくら安いからといって、一日の食費が200円、ジャワーは3日に一度、新聞紙で尻を拭わなければならない人々はマンションを造るだけで、決してそこに住むことはない。アーメン・・・。
さあ、アジア大会がオラが街にやってくるぞ。建設省は総力を挙げ、古き良き歴史ある建物を根こそぎ破壊して、ビルを道路をと、数年も前から作り上げてきた。
この半年間、広州市内では個人的な建物の建築及び内装工事はアジア大会のため一切禁止。9月22日をもって、その申請さえも終了となる。工事が可能になるのはアジア大会終了後の12月半ばからだ。ただでさえ少ないタクシーも交通規制で偶数日と奇数日に半分ずつ振り分けられる。広州市内だけでなく、広州市内から車で40分の私の住む市橋市も同様だ。いったい何のために????。
売春でもない、カラオケで客に酒をつぐだけのナイトクラブにも抜き打ちで公安が手入れするという。広州市内の日本人相手の中国人カラオケ嬢たちの3分の2は、アジア大会の期間中は商売にならないと上海へ出稼ぎに出た。女が居なけりゃ客も来ない、ナイトクラブの経営者たちはこの二カ月の営業をどうするべやと、それでも払わにゃいかん家賃に何の補償もない。
それでも、この国の人たちの凄さ、強さを僕はじっと感じている。
病苦以外で、例えば経済的な理由での自殺という話を聞いたことがない。実は報道されていないだけかも知れないが、病院関係という比較的生死の話題が入りやすい場所にいても一度も耳にしたことがない。
そら、そうだと思う。200円で3食喰えて、風呂に入らなくたって、古新聞さえありゃケツ拭けて、すべての家財がボストンひとつに収まったって、それが不幸だとか、つまらないだとか、彼らは思わない。何故ならば、絶対的な個人主義で、他人との比較という、一番くだらない作業を彼らはしないからだ。
それは、彼らが特別に強くて偉いという意味ではない。極論でいえば、快楽とか競争とかという情報がないから他人との比較という発想がないように、思える。間違いだろうか。
広州のアジア大会関係者は党(すなわち国)を揚げ、全世界にその意気込みをアピールしている。しかし巨人戦さえもリストラした日本のテレビ局がアジア大会を放映するのだろうか?