少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

409  空白の4日間

11月12日金曜日、つまり開店3日目で当ブログ「喫茶店営業状況」が早くも途絶えてしまいました。閉店したわけではありません。実は予告通り、店主がトンズラしてしまったのです。
昼間にトンズラしたので「夜逃げ」とは言わないのでしょうが、たとえば内装もやり残し、看板は付けぬまま、廃棄物の処理も放置したまま、事務的な処理も引き継ぎなし、従業員のスケジュールや給与の計算も人任せ、珈琲豆やその他食材の仕入れもチャコとM店長任せ、備品の購入から業者への支払いも「悪い、全部任せたからテキトーに頼む」のたったひと言ですべて完了、つまり昼に逃げた夜逃げです。僕が無能というわけではなくチャコとM店長が有能ということなので、そこのところお間違いなく。
で、かくいう僕は金曜日午後、お世話になった業者3軒にお礼のあいさつ。もう痛くて歩けないので、彼女たちの友人でお客さんで来ていたFさんに無理を言って、彼女の車で回ってもらい、最後に名鉄・新安城駅で降ろしていただいた。
14時43分豊橋発ひかり518号にて帰京。品川乗り換えで渋谷へ。夕刻真近の山手線は帰宅ラッシュへと向かう時間帯。「座れるかな?」こんなこと思ったのは初めてだ。外見は頑丈そうに映る僕の身体だが、実は靴下の下に巻かれた包帯からは、かなり出血していて黒の靴下が赤黒く染まっている。誰も席など譲っちゃくれない、自力で確保するしかないな。
で、無理やりゲットした。「あ〜」とため息が漏れる。渋谷で力尽き、タクシーに乗り、目的地へ・・・。
そして、僕は今、都内某所の超高級ホテルのスイートルームにいる。
ここからの眺めは最高だ。眼下の並木が見事な紅葉で、日々色濃く染まってゆく。僕の部屋からは見えないが、部屋によっては東に東京タワー、西に富士山が見える。静かな場所で車の音も、子供たちの喧騒も一切聞こえてこない。
食事は3食ともルームサービスで運ばれてくる。そして、それが実に美味い。いい米を使っている。しかもカロリー計算されたメニューによどみがない。みそ汁など、とてもいいダシが使われている。季節のフルーツのデザートも気が利いている。
空調も完璧だし、トイレやバス、シャワーなどの設備も充実している。テレビは当然シャープの液晶アクオスだ。昨日など館内にある理容室で優雅にクラシック(別府里香さんのピアノ)など聞きながら、散髪とシャンプー、髭そりなどしてもらった。
さらに定期的に白の制服を着たコンシェルジェたちが部屋を訪れる。「いかがお過ごしですか?何かお困りのことがございましたら、枕元のスイッチを押していただければ、すぐに参りますので・・・」
背筋がビシッとした礼儀正しい女性ばかりだ。有難い。
何よりおしゃれなのが各部屋ごとに花の名前がついている。例えば僕の部屋は「雛罌粟(ひなげし)」。どうしてもアグネス・チャンを連想してしまうのだが、花言葉は「心の平静」英語名は「CORN POPPY」だそうだ。美しい。
缶コーヒーなど滅多に飲まなかった僕だが、やたら飲みたくて無糖の缶コーヒーを求めて日に何度か、自販機のあるフロアロビーへと出向く。そこにはどういうわけだろう、カ―キ―色の制服をビシッと着こなした方々や、迷彩服の上下を身にまとったお兄さんたちをよく見かける。アーミーファッションは不滅のアイテムだし僕も好きだ、みんなよく似合っているし・・・。
各階のカウンターには新聞が置いてあり、超高級ホテルだから、もちろん無料で部屋に持ち帰れる。コンシェルジェの綺麗なお姉さんが言うには「かなり専門的(マニアック)な新聞ですけど・・・」と。
雛罌粟(ひなげし)の部屋に戻り、僕はそれを広げる。
「海賊対処部隊帰国」「軍事情報包括保護協定」「中国に関する軍事・安全保障動向2010」「監視飛行通算333回に」「新課目も披露ブルーインパルス」「体張った豪雨との戦い」「米製機雷を水中爆破」などなどなど・・・。う〜ん、確かにマニアックだ。新聞名を見ると「朝雲」に「隊友」に「防衛ホーム」・・・かあ。なるほどなあ。
確かにホテルの入り口にいた守衛さんも、身分証明書がどうのなんて言ってたっけ。あれはAPECとは関係ないんだよな・・・たぶん。
ところでこのホテルを紹介してくれたのは、長野県は安曇野にある大学受験予備校の同期生のM医師。
「安藤さん、せっかく遊びに来てくれたんだから、家に帰るなんて言わないで、しばらく泊まっていかれたら?」
「いやいやいやそこまで甘えるわけには、そんな用意もしてないし」
「でも、その足じゃ帰るに帰れないでしょ」
「まあ、それもそうなんだけど」
「じゃあ、チェックインしときましょう、とりあえずは」
「そお、なんだか悪いねえ」
と、そんなわけでM医師がスイートルームを取ってくれたのが12日金曜日の夜。やっとネット環境ができたので、ブログ再開です。
で、ここから本日16日火曜日のお話。
「ところで安藤さん、いかがですか?ここの住み心地は?」
「まったく文句なし。ずっと住んでもいいよ」
「でも動けないから辛いでしょ」
「そうね、エネルギーが有り余っているからね」
「じゃあ、少しでも早く何とかしましょうかね」
「何とかなりますか?」
「さあ?」
「さあ・・・ってちょっとあんた」
「じゃあ、そういうわけで、また明日お会いしましょう。午後2時に3階の手術室で」
「・・よ・・・よろしく・・・・ね・・・」(汗)