少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

620 最終空港バス4

運転手さんに直接聞いた話です。この手の話は被災者と同じ数×その関係者分だけあり、新聞や週刊誌などで取り上げられ、もう聞き飽きたことと思いますが、書きとめておきます。
運転手さんの同僚の運転手さん(仮にAさんとしましょう)は、次の勤務が3月12日で、たまたま2日間の連休が取れたそうです。Aさんの実家は宮城県気仙沼市。実家には足を悪くして動けない寝たきりの高齢のお母さんがいたそうです。仕事の関係もあり滅多に里帰りできないAさんですが、たまたまこの連休は母親孝行のため実家に帰りました。それが運転手さんの言う「虫の知らせ」だったというのです。
Aさんは3月11日午前、お母さんを車に乗せ病院へ連れて行きました。そして一緒に昼食をとり、再び車で実家に戻り、お母さんを寝かせたらその足で明日の勤務に備えて、帰京する予定でした。そしてお母さんをベッドに運んだ直後の2時ちょっとすぎ、激しい地震に見舞われ、ベッドのお母さんを再び抱え上げた時、すでに家の中に浸水がはじまり、家の外に出た時点では海水がもう腰のあたりまできていた、というのです。
海水といってもAさんの表現を借りれば「どろ」のような状態で、歩いても歩いてもなかなか前に進まなかったそうです。なんとか高台に避難できたAさん母子ですが、もうどろは腰から胸のあたりまで来ていて、亡くなった方の多くは、報道で「水死、溺死」と言われていますが、いわばどろに生き埋めの状態だったそうです。
Aさんの場合、そんな災害の中でも、すべての条件(幸運)が重なりお母さんの命を救うことが出来ました。あと数分、どこかで何かが狂い、Aさんが家を出た後だったら、と思うと本当に恐ろしいことです。またAさんはまだ40代前半の若さでガタイもデカく、どろの中をお母さんを抱えて進む体力があったことも、本当に幸運でした。
僕は、そんなナマナマしい話を運転手さんから聞き、身近にある被災に改めて恐怖を感じました。
また、高速道路を運行中の運転手(Bさん)は高さ30メートルの木場あたりの高架で地震に遭遇し、前面の道路が大きく幾重にも波を打ち、墜落を覚悟したそうです。満席の乗客は悲鳴と泣き叫ぶ声で酷かったそうです。
そんな話を聞きながら、バスは緩やかに新宿駅西口に。何が驚いたか。
街が、新宿の街が真っ暗、人がまばら・・・。こんな新宿、正月の三が日でも見たことありません。衝撃的でした。
家に戻り、パソコンを空けると日刊ゲンダイの後輩のN村くんからメールが届いていました。
「安藤さんお帰りなさい。新宿は真っ暗でさぞや驚かれることでしょう」と。その通り。そしてN村くんのメールはこう結んであった。
「僕の主観ですが、新宿は寂しいですが、ロンドンやパリだって夜はこんなもんです。だから日本も東京もこれからは、こんな感じでいいんじゃないかな・・・と」。同感です。(この項おわり。ありがとうございました)