少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

1277 悲劇カレー2

新宿ゴールデン街まで・・・。ディープなとことですみません。歌舞伎町の中に入っちゃうと出てこられなくなるからテキトーなところで降ろしてください・・・」とタクシーの運転手さんに気を遣う。そう、私は気い使いでもある。
「今夜はどうですか?」と運ちゃんに声をかける。
聞けば長距離・・・静岡県御殿場の先まで送ったところ、4万5000円の売り上げがあったという。「このご時世に、豪気な話ですなあ」と言うと「そうでもありません」と運ちゃんは乗ってこない。
ふとダッシュボードに目をやると珍しい苗字。「運転手さん、これなんて読むんですか」と尋ねると「おたく警察の方?」と聞かれた。
「いえいえそんなことはないですけど、はじめて見るお名前でしたから」と僕。「自分の名前とか言ったら、前科とか過去のことが全部わかっちゃうじゃないですか?」「まあ、一般人にはわかりませんけど、警察ならわかるでしょうね」「でしょ」「あっ誕生日は3月20日ですか」とプレートの下に堂々と表示してある年月日を口にすると、後部座席のA君が「あっ、僕と一緒です」と歓喜の声をあげる。365分の1の確率だから、意味はないけど誰しも親近感は覚えるもの。ところが運ちゃんは「・・・」無表情。
「じゃあ、この生年月日とかも個人情報だから本当じゃないってことですか」という僕の問いに「無論です」と運ちゃん。知らなかった。んじゃあ最初から公表しなければいいのに、なんでだろう・・・。
車内の空気が非常に重くなってきた。
この重圧をなんとか打破しようと「じゃあ、運転手さんもそうとう苦労というか、アレしてたんだあ〜?」とかなり抽象的な質問を僕がぶつけると「5年くらいですかねえ、入ってたのは」と即答。オラそんなとこまで聞いちゃいねえ。四谷三丁目から新宿まで約10分の道程。
車から降りるとB君が「どこの刑務所に入っていたんでしょうかね?」と独り言のようにつぶやいたので「あの顔は山梨だな」と特に根拠はないのだが、僕がそう返答すると「山梨ですかあ」とB君は何故か納得してくれた。
今から思うと、この刑務所タクシーのインパクトも消え去るほどの、悲劇のカレーが僕らを待っていようとは・・・。
刑務所タクシーは新宿ゴールデン街への、粋な演出ではあったが・・・。
(つづく)