少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

694 牛丼戦争再び2

うなだれた気分で僕は渋谷駅へ行く。東北福祉大講師でスポーツライターのS戸口氏と渋谷のモアイ像前で待ち合わせした。すぐ後ろに喫茶店があるのだが、なんと珈琲一杯550円。50を過ぎた俺が、なんで250円の牛丼で打ちひしがれ、何が悲しくて珈琲に550円も払わなあかんのか、自問する。約束時間まで、まだ少し時間がある。少し歩けばマックがあるのだが、足が痛いから歩きたくない。ドトールを探すが結局見つからず、ターリースで330円のカフェをすすり、S戸口氏と会う。
ここで伊良部秀輝投手の訃報を聞く。S戸口氏はヤンキース時代に、僕は尽誠学園とロッテ時代に伊良部投手を取材。マスコミが言うほど野蛮人ではない。いや、むしろ礼儀正しい好青年のイメージが僕には強い。福島でピンサロに一緒に行ったことが思い出だ。
その後、品川でN瀬氏とビジネス打ち合わせ。夕方5時を過ぎるとラッシュになるので、5時前に渋谷に戻る。
さて、いよいよ吉野家に潜入の時間だ。道弦坂下、109前の吉野家の前で深呼吸をする。ここもごった返しを予想したが、夕食にはまだ少し早いのだろう、すんなりと席に着けた。
ランチの失敗を繰り返してはならぬと、僕はさも慣れたふりをして、他のカウンターのオーダーを目で確認した。おお、なんとここは牛丼並270円一色、素晴らしい、まさに正統派のオーダーだ、ブラボーと心で叫びながら、それを回りに悟られないように、カウンターの中の中国人アルバイト女性に「ああ、きみきみ、牛丼並ひとつ、悪いね」と注文する。ここで賢い読者にはバレてしまっただろう、僕は語尾に「悪いね」と余計なひと言をつけてしまったのだ。
「悪い・・・?」一体何が悪いのか、自問する。中国語、あるいは英語でレストランで客が注文したあとに陳謝する例文も習慣もない。僕は何故、謝ってしまったのか?そんなに安い牛丼を注文することが後ろめたいのか、情けないのか、悲しいのか、悔しいのか、苦しいのか、恥ずかしいのか、切ないのか・・・。だったら来るなよ食うなよ注文するなよ、と自分に言い聞かせてみる。
しかし、ここで気遅れしてはダメだ、牛丼の圧力に押されてしまう。「たかが牛丼」と暗示をかける一方で「されど牛丼」というささやきが聞こえてくる。すき家のピンクに対して吉野家のショウガは正統派の紅ショウガ、発癌物質たっぷりの有害着色料満載だが、これがレトロでまた可愛い。そんなことを考えては気をそらす。
そして、ついに俺の時代が来た。来る客来る客ほとんど全員が「牛丼並」の一言以外何も言葉を発しない。偉いぞ日本男児
しかも、そのうち7割が「つゆだくで」と言いやがる。これで完全に勝った。ただでさえ110円引きの牛丼並にさらに「つゆ」をたくさんかけろ、と貧乏くさいことを言う。だから、勝った。当然、そんな奴らは、おしんこ50円もみそ汁50円のオプションなど追加しない、当然だ。これぞ、キャンペーン中の吉野家と真っ向勝負、ストレートとフルスイングのぶつかり合いに他ならない。見ていてすがすがしいとはこのことだ。下手な小細工はペナントレースでやってくれ、と声高に言いたい。女にはわからんだろうな、この気持ち、吉野家のカウンターは男ばっかりだった。仲村トオルのアニキ部長が女子社員3人を連れて吉野家でおごるシーンがCMでまことしやかに流れているが、みなさん、あんなシーンは現実ではありませんからね。
今回のこの牛丼戦争、吉野家の圧勝。すき家はおととい来やがれ、というか、こっちがおととい行ったるわい・・・と。今度は絶対にひつまぶし牛丼並450円、食ったるからな、ちっくしょう。
(おしまい)