少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

817 迷宮のイタメシ2

結局Tは、僕にでたらめの場所を教えた。キグナス石油の裏というのは合っていたのだが、違うキグナス石油を教えやがった。次回会うときにシバく。
探し始めてから、途中、かつ家を挟んで1時間と46分。もしここが、この時期の八甲田山だったら生命の限界だった。ちなみに新田次郎のファンです。
やっとの思いで見つけた店の名前は「il mercato=イル メルカート」(台東区浅草橋2−7−1 03-3851-2788)
カウンターの中で大柄なシェフが何かを作っている。
もくもくと背を向けたまま作業をしている。見覚えのあるようなないような背中だが、よくは思い出せない。
「いらっしゃいませ。何にしますか」とシェフがいう。
かつ丼で満腹だ・・・、とは言えない。困った。いきなりピンチ。先頭打者を四球で歩かせちまったか。
「あ、いや、そのちょっと・・・」などとはぐらかせてみる。
シェフは清原みたいな風格で同じような無精ひげを生やしている。
「この小腹セット1000円を所望する」とグラスワインとピザを注文。
「シェフは西麻布でやっていたと聞きましたが・・・?」
「ああ、少し前ね。知り合いに頼まれて、ここから自転車で通ったよ」
体型に似合わず健脚だ。
聞けば、ホテルセンチュリーハイアットの出身だという。なるほど、ならば腕は確かだ。
「どう?元気してた?」
なんだか、慣れ慣れしいぞ。やっぱ知り合いか?
「おれはぼちぼち」などと、とりあえず無難に話を合わせてみたりする。
「そういえばさあ、CSの前の巨人戦あったじゃん。あのとき○○が来たんだよ」とシェフが言う。
「○○・・・ってドラゴンズの」
「そうだよ」
「女連れてか・・・」
「いや、それがひとりでさあ・・・」
「へえ〜珍しいね」
「○○のことボロクソ言ってたよ」
「えっマジで〜。○○真面目そうな奴なのにわからんもんだね〜」
「そら、毎日いっしょにいる人間じゃないとわからんよね」
当「少数派日記」の情報源は、こういう生の声なんだよアケチくん。
どうやら、やっぱり僕の正体を知っているようだ。お前は誰だ?早く正体をさらしてくれ。
「ちょっと今、二階の宴会の料理出しちゃうから待っててね」とシェフは相変わらず背を向けたままだ。チーズが焼けるいい匂いがしてきたぞ。(つづく)