少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

889 さよなら九段下ビル

神田神保町3丁目の京葉道路靖国通り)沿いに佇むレトロな九段下ビル。1927年の完成だから85歳。同潤会アパートと並ぶ、レトロTOKYOの代表的なランドマークだが、すでに解体作業がはじまっている。
きょう1/21正午から形見分けの会。世話人で画家の大西信之さんから電話をいただいた。気になる部品がいっぱいある。小雨の中傘をさして現場に出かけた。
正午を5分ほど過ぎて到着すると20〜30人のマニアと業者が輪になっている。そして僕も加わる。古いドアや窓枠。普通の人はいらない物ばかり、解体業者から見ればすべてが廃棄物。まさに少数派の集まりだった。
欲しいものはいくつかあったが、オークションではないので遠慮もある。欲しい人が複数の時はジャンケンだ。僕はビルの看板が欲しかったが、ジャンケンで最後に負けた。が、気になっていた電電公社の配線板をゲットした。使い道などない。単なるオブジェだ。ビルの電話回線がすべて詰まった壁掛けタイプの箱。電電公社のマークが入り、味がある。
が、運ぶ車がない。こんな時トヨジさえいてくれたら、ひょいひょいと現われて「なんだ〜こんなやつどうするだあ?」と文句を言いながらもぽんぽんぽんとトラックに積み上げ、ささっと運び「どこに付けるだあ、こんなわけのわからんやつ」と言いながらもパンパンパンと壁に打ち付けてくれるのになあ・・・。昔の体力ならかついでも持って帰るのに、電車でもタクシーでも難しいサイズ。結局、ジャンケンで争って僕に負けたおねーちゃんに譲った。おねーちゃんはリノベーション業者の手先で社長に頼まれて来たそうな・・・。リノベーション屋がほとんどの大物をかっさらったが、まあ、どこかで活用されるならそれでいい。僕も同じ目的だから、僕のところにこなくても、廃棄にならなければ、それでいい。
それにしても、ビルの最後の住人となった大西信之さんはいい人だ。作品もネットに出ているので検索してみてください。
僕は、潰れた泥だらけ鍋とホーローのポットと床木を一枚、瓦礫の中から救い出し、地下鉄に揺られ持ち帰った。
跡地にはどデカいビルが建てられんだろうけど、高い家賃を支払ってオフィスを借りる時代じゃないぞ、アケチくん。ビルに道路、もっと造れとバカが絶叫するがゼネコンバブルはもう無えよ。あったとしても東北に一部だけだ。で、その利潤は下まで到底、回ってこない「少楽多苦」。楽をするのは少数のみで、多くの人は辛苦をなめるだけ。どこの国も似たようなものだけど・・・。
大西さんはこんなことを言っている。
「ペンは剣より強し、というけど、ペンより柔らかい絵筆では、剣に負ける・・・」と。東京の文化も歴史も知性も教養も地上げ屋に味噌クソにされてしまう。