1065 ゼロ戦はやと
戦争を肯定するわけではない。だが、僕らの世代は「ゼロ戦はやと」「紫電改のタカ」を見て育った。子供だから、普通に、大人になったら戦闘機乗りになろうと思った。国の方針、つまりマインドコントロールされていた時代だった。
しかし、70年安保が近づくにつれ、マッカーサーによる、日本人の骨抜きコントロールが露骨になり、少年たちの「愛国心・大和魂」は「ゼロ戦」から「巨人の星・タイガーマスク」へと移行させられる。
子供には抗議する術も力もなく、マッカーサーの骨抜き路線へと造作なくはめ込まれる。中国では地上波80チャンネルのうち、30チャンネルくらいが中国軍が日本兵をやっつけるという戦争ドラマ。子供時代から日本人は悪人だと摺り込み、「来る日」に備えている。
元海軍総司令官・五十嵐隊長が自身の御曹司に「はやと」と名付け、自身も海軍に志願したことは、僕らの時代の生き物としては、しごく当たり前で健全な生息物であったと断言できる。
尊敬する漫画家が二人いる。「紫電改のタカ」のちばてつや先生と、「柔侠伝」シリーズのバロン吉元先生だ。特にバロン先生の作品は「柔侠伝」シリーズ以外にも「大学四年生」「宮本武蔵」など、僕のバイブルでもある。「昭和柔侠伝」の主人公・柳勘太郎は柔術・柔道の天才・柳勘九郎と駒子の孤児。少年時代に中国大陸から引き揚げてきた。そして僧侶になるため仏門に入る。
「煩悩即菩堤。いわゆる煩悩がなければ菩堤もない。苦しみがなければ楽しみもない。すなわち生死即涅槃の生死。勘太郎、身心を鍛えよ。金剛本懐に。そして無擬自信をきわめるのじゃ。信心なくば永久に流転の世界であり、人生は無常の悲哀の中にとざされたままである。ゆえに、寂光の世界に我をおき、己の幸福な生命を最高に湧現した姿で人々を救っていくことが大事なのだ。いわく、自体顕照。よいか勘太郎、覚有情に生きよ」(勘太郎の師)
「わかんねえな・・・わが輩には・・・」(勘太郎)
その後、柳勘太郎は「熊谷陸軍少年飛行兵学校」に入隊し陸軍大尉・白鳥隊長率いる「八九三部隊」に配属される。勘太郎の背中には「覚有情」の入れ墨が・・・。とにかく、凄く深く漫画の域を超えた高尚な漫画です。
18歳、早稲田の入試で上京した時、知り合った「早稲田大学精神高揚会」の富所さんから「読みたまえ」といただいたのがきっかけ。全巻(シリーズだとものすごくたくさんある)何度も読み返した。
サンスクリット語(インド・アーリア語派)で菩薩を覚有情と訳す。覚有情、つまり、悟りを求めて修行する人の意。深いでしょ・・・。
「紫電改」・・・。こんな映像を見つけました。
現役受験生の時、大学は早稲田しか受験しませんでしたが、航空自衛隊の「航空学生」の試験も受けました。ガキのころから、毎年、小牧基地で行われる自衛隊の航空ショーに、親父に連れられていったのがきっかけです。ブルーインパルズの曲芸は、まず、その爆音に驚かされます。テレビでしか知らない人には、沖縄の基地周辺の人々の悩みはわからないと思いますが、その爆音は毎日が戦場のようだと思います。
僕らの時代、すでにマッカーサーに洗脳されたガキどもは自衛隊はキング・オブ・ザ・3Kで、好んで入隊する輩は1・国士、2・サムライ、3・とりあえず、4・行き場のない奴、5・家庭の事情、6・できそこない、7・エリート・・・とまあ、こんなとこでしょう。
残念ながら、同期から防衛大学は誕生しなかったが、予備校の同期が防衛医大に合格した。DR・M嶋だが「僕は戦車とか苦手なんですよねえ・・・」と草食系軍医だ。まあ、ええわ。とりあえず見てください。ブルー・インパルズ。DVD買っちまいました・・・。
海軍のS船長の情報では、F15戦闘機のパイロットより、陸上自衛隊のヘリのパイロットの方が給料がいいとか。意外でした。
昨年、知り合ったF15のパイロットに聞いてみました。「マッハの世界で生きているから、日常の車の運転だと、他の車とか歩行者が止まって見えますか?」「いいえ、そんなことありませんよ」。つまらん答えでした。