3801 どうしてこんなに悲しいんだろう
4/12/18
FBFのみなさま、おはようございます。
ここに居ると、太陽の位置が毎日変わり、地球の自転を肌で感じます。
いつものテーブルに日陰がなく、眩しすぎて原稿が書けないので、初めてブラインドを下ろしました。
私はここから見える、まだ蠢く前の東京・新宿が大好きです。太陽を背に、活力と倦怠が混じる街。
無数にある屋根の下の人々の今の時間の状況が、手に取るようにわかります。
あの屋根の下の家族、あのアパートの中の新入社員、あのマンションの3階で暮らす独身OLの冷蔵庫の中身、私の万里眼から、もはや何人も逃れることはできません。
人々は大自然に憧れます。例えば富士山や大海原を見て目覚める朝。
爽やかな気分になり、ああ、毎日こういうところで目覚めたらどんなに心地がいいだろうか、いっそ移住してしまおうか、退職後は田舎暮らしに憧れる、なんてね。
そういう景色に触れるたび、私も漏れなくそう思います。
でも、冷静に向き合えばどうか?私は尻込みしてしまいます。
人間ですから自然に憧れるのはDNAの原点回帰であり、道理です。しかし、これだけ都会に洗脳された今、それに挑戦する勇気があるかといえば、まったくありません。
どんな勇気か?
それは孤独に耐える勇気です。
人恋しさ、です。
拓郎さんの歌です。
この曲は歌詞を見なくても歌えます。
『どうしてこんなに悲しいんだろう』 吉田 拓郎 作詞・作曲
悲しいだろう みんな同じさ 同じ夜をむかえてる
風の中を一人歩けば 枯葉が肩でささやくョ
どうしてだろう このむなしさは 誰かに逢えばしずまるかい
こうして空を見あげていると 生きてることさえむなしいョ
これが自由というものかしら 自由になると淋しいのかい
やっと一人になれたからって 涙が出たんじゃ困るのサ
やっぱり僕は人にもまれて 皆の中で生きるのサ
人の心は暖かいのサ 明日はもう一度 ふれたいな
一人ごとです 気にとめないで ときにはこんなに思うけど
明日になるといつもの様に 心を閉ざしている僕サ
この曲は有名な「祭りのあと」のカップリング曲だと勝手決めつけています。賑やかな宴のあと、人々が去り、そしてポツンと独り残された虚しさ、侘しさを歌った曲。そんな思いは多くの人が経験されたと思います。
同じ長さの時間が流れているのに、都会では1日が短く、田舎では緩やかな流れに感じる、私だけではないと思います。
喧騒に疲れ、誰も居ない部屋で孤独になりたい。
でも孤独になると涙がでる。自由とは孤独。
そしてまた、自ら喧騒中へと入っていく。
夜の夜中にチャリ飛ばして、トヨジやカンペイと遊び回てたあんまき市近郊、深夜に人間とすれ違うなんてことはカーセックスのカップル以外はあり得なかった。早稲田での新聞配達では押し寄せる下校学生の波をかき分けるようにして夕刊を配る。通り沿い、木造モルタル新聞屋の三畳塒では大型ダンプが深夜でも通るたびに震度3強の揺れ。酔っ払いが肩組んで都の西北を歌いながら闊歩する。
そんな頃から、カセットが磨り減るくらい聴いた曲ですが心境は今も変わらず。
富士山や大海原の前に独り佇めば、自然のおおらかさに包まれる前に、己の小ささに足がすくみ、秒殺で潰されてしまう。
ところが、この病窓から見下ろす景色には、自身と同じ待遇の哀れな同胞が今日も蠢き、必死に流されまいとしがみついている。
そんな同類を眺め自分の立ち位置と比較して「まだマシか」と安心する現代人。もしかしたら自分だけかも知れませんが。
『呉越春秋』に出てくる「同病相憐れみ、同憂相救う」(トイレでは論語を読むようにしているのです)という句。
白土三平先生のカムイ外伝に山中の湯治場に傷ついた獣たちが集まるシーンがあります。つまり秘湯なのですが、そこには普段、食欲を満たすために生命の奪い合いをしている異種多様の獣たちがお互い攻撃せず、傷を癒すことに専念しています。そこにカムイも浸かり、刀傷を癒しながら「人間の社会もこうでありたい」と思うのですが、下人(人間以下)の出であるカムイが、己が人間のような思いに至ることに自己否定すのです。
今朝、久々に受験の夢を見ました。早朝図書館に行きました、午前6時です。もう中高生で満載。壁際のカウンターに一席見つけ、座った途端に係員(パツキンのお姉さん)が「6時になりましたので終了で〜す。延長希望の方は🙆🙆へ移動し下さ〜い」
200人は下らない受験生が一斉に参考書をリュックに詰め出口へ向かう。こいつら早朝に来たのではなく昨夜からベンキョーしてたんだ。
で、パツキンさんがそれぞれテーブルに残るゴミを集めるのだが、どのテーブルにもカルミンが置かれている。どうやら主催者が受験生に配ったものらしい。カルミンといえば、昨年、製造中止になったマボロシの菓子。すかさず一個を隠匿しポケットに入れたところで目が覚めました。
というわけでで受験生諸君。滅多には出ないけど、これは早稲田文学部の過去問にあるよ(たぶん)覚えておいて損はない。
Misery makes strange bedfellows.(不幸は奇妙な仲間を作る)
Misery loves company.(不幸は仲間を愛する)
落ち込んだ時、自分より不幸な奴を見つけては立ち直る。
凄まじく「後ろ向き、ネガティヴ」で素敵に「前向き、ポジティブ」な処世術。いかがでしょうか?
本日もついてる、感謝してます。