少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

291  臓器移植考・5

テレビ各局のニュース報道でものすごく気になることがあります。移植コーディネーターが肩にベルトをかけ担いでいる、あのクーラーボックス。もうお気づきの方もいらっしゃると思いますが、あのクーラーボックスの中に脳死されたドナーの方の臓器が入っています。
医師によりドナーから摘出された臓器は、一旦、生理食塩水に漬けられ、ビニル袋に入れられ、氷の詰められたクーラーボックスに入れられて各レシピアントの待つ病院に移送されます。現在、この方法が最も有効とされているので、それはそれで仕方ありません。
しかし、クーラーボックスはそもそもレジャー用に生産されたもので、我々の持つイメージは魚釣りの魚入れとか、バーベキューやピクニックなど屋外イベントの飲料や食糧の保存や移動ではないでしょうか。
僕自身、中国でドナーの臓器がクーラーボックスに入れられて病院に到着した時には、ちょっとしたショックを受けましたが、読者のみな様はどのように感じられたでしょうか?
ドナーにさえならなければ、豪華な桐の棺に納められるご遺体は、ドナーになったことによりクーラーボックスの氷詰めにされるのです。ドナーとなった方のご遺族はそのようなことを事前に伝えられていたのでしょうか?
僕は、そんなクーラーボックスの移送シーンまでも映像やカメラに収め、報道する必要性があるのか、非常に疑問に感じ、とても腹立たしく思います。すでに、もの言わぬ一個の個体と化した臓器ですが、それはドナーになった方や、そのご遺族の方たちを単なる興味本位で捉えた映像でしかなく、プライバシーの侵害であり、そこにはドナーに対する尊厳や敬意もなく、デリカシーのカケラもない醜いマスコミの行為だと断言します。
自分自身もマスコミで飯を食った人間ですが、視聴率だ売上だという営利最優先主義がマスコミの本音であり「報道の義務」を大義名分に好き放題垂れ流すという姿勢は、ますますエスカレートするばかりです。
もし、自分が、あるいは自分の家族がドナーとなり、クーラーボックスに詰められ、移送されるシーンを全国に何度も何度も流されたら、どれだけ多くの、かつ不必要な悲しみを増さなければならないのか、僕はそんな風に思いますが、みなさんはどう感じられたでしょうか?少数派だけの思いであって欲しくはありません。