少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

728 生まれた町1

ユーミンの古い曲で「生まれた町で」という歌を御存じでしょうか?
「生まれた町の匂い やっと気づいた〜」という歌い出しですが、あの感覚ってわかりますか?おそらく、生まれた土地でずっと暮らしている人にはわからないと思います。
僕のように定住性がなく遊牧している人間にはすごくよく分かるのです。例えば、目隠しされて、連れていかれても、そこが生まれ育った地だということを五感と六感が教えてくれるのです。空気がまるで違うのです。すべてが懐かしいのです。
鮭の「母川回帰」というのを、僕の記憶が正しければ中学一年の時の理科と、高校二年の生物の授業で習いました。鮭は川で生まれ、降海して海でいっぱいお魚を食べて、大きくなって、また生まれた川に戻って、上流で産卵してから死んで、それを熊と人間が食べるんだよ・・・と。
当時、北島のサブちゃんの「鮭茶漬け〜、あな〜たと、食べた〜い、鮭茶づけ〜」という永谷園のCMソングが流行っていて、それを聞くと必ず鮭茶漬けが欲しくなり、同級生のトヨジがよく鼻歌まじりで歌うもんだから、僕はよく鮭茶づけのお世話になりました。
僕は当時、どうして海に出た鮭がちゃんと生まれた川に戻れるのか不思議で、生物の石原という短気な先生に尋ねました。すると先生の答えは「わからん」の一言でした。
あれから37年、海洋研究が進み、かなりのことがわかってきました。
まず鮭には人間の叡知を超えた超高性能な生態時計を持っているということがわかりました。これは地磁気コンパスと太陽コンパスの両方を身に付けているため、いつ何どきも、自分の位置を正確に知ることが出来るのです。これは各国がマッハで飛ぶ戦闘機を開発する際に最も重要な計器のひとつで、莫大な研究費がかけられていますが、鮭一尾に匹敵するコンパスも未だ開発されていないと言われています。
地磁気は地球の中心部の流動核に起因するため、生き物である地球の磁気は正確に言うと常に変動しているというわけです。我々より地球の中心に近い部分にいる彼らは、それを感じ取るセンサー(生態時計)を地球の変動とともに太古の時代から進化させたのでしょう。同様にメソポタミア人が天体観測したはるか古(いにしえ)から天体コンパスを体内に持つ、彼らに勝てるわけがありません。つまり陸海空のすべての武器をトリプルで備えているのですから、人智が及ぶわけがありません。鮭茶漬け恐るべし・・・です。
それだけではありません。ベーリング海でとっつかまえた鮭にセンサーをつけた人がいました。その結果、ただセンサーをつけただけの鮭は一直線、最短ルートで生まれ故郷の北海道に回帰しました。そして鮭の目を網膜剥離にして視界をぼやかしたグループと、鼻孔にワセリンを塗り臭覚を弱くさせたグループにもセンサーをつけましたが、こちらのグループは生まれた川に戻ることができませんでした。(つづく)