少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

1709 杜若/幸福は必ず来る

安藤総理が滞在する軍事施設、お気に入りのひとつに各部屋ごとに花の名前がつけられ、表示の下に花言葉まで添えられている。
例えば、安藤総理の部屋は「チューリップ」。花言葉は「思いやり」とある。言葉遊びで「思いやり」は「重い槍」ともとれるので軍事施設や医療施設にはどうかな・・・と安藤総理は連想するのだが、まあ、それは考えすぎ、ということにしておこう。いずれにせよ風流だとは思う。


三つ隣の個室の花言葉は杜若(かきつばた)。あんまき高校の校章は杜若がモチーフになっている。というのも、あんまき市の花が杜若だからです。
話は平安時代に遡ります。当代きってのプレイボーイ・在原業平を追って、京の都から、ひとりの美しい姫が、あんまき市にある無量寿寺まで辿り着きました。ところが、運命のいたずらか、業平は東国を目指し、姫が到達する前に、無量寿寺を発ちました。
(ちなみに東京スカイツリー近くの隅田川にかかる業平橋は、この在原業平に由来するものです)
もう、これ以上、歩くことも立つこともできない姫は無情を感じ、深夜ひとり、無量寿寺の沼に身を沈めました。
そこから、美しい紫色の花が咲き乱れるようになりました。その鮮やかな色は、姫が身に着けていた着物と同じ色でした。
姫の名を杜若(とじゃく)と言います。


そして、杜若の花言葉は「幸福は必ず来る」です。
杜若の部屋の前を通ると、開いている扉の中から、静かに徳永英明さんのボーカリストの曲が流れてきます。一番よく流れているのは今井美樹さんのカヴァー曲「PRIDE」とユーミンの「まちぶせ」でした。
カーテンでさえぎられているので中は見えませんが、ピコッ・・・ピコッ・・という生命維持装置の機械音が断続的に聞こえてくるので、意識不明の重体であることは容易に察知できました。
ただ、性別年齢はわかりません。安藤総理には、ある程度、年配の女性だと感じられました。たぶん60〜70代。脳の疾患だと推測されます。
昨夜、夕食後、時刻にして午後7時前後、シャワーに行く際、「まちぶせ」がかかっていたことを記憶しています。徳永さんがかかっていれば、まだ大丈夫だということで、安心するので、必ず意図的に意識します。


違和感を感じたのは、午後9時すぎ、姉に電話連絡するためデイルーム(食堂)へ行こうとした際、杜若の部屋から、看護師と、ご家族と思わしき女性が出てきたこと。そして徳永さんの声はありませんでした。
「まさか?」とは思いましたが、電話の帰り、看護師が杜若の部屋から機械の一部を引き上げているのを見てしまいました。
カーテンの隙間からわずかに見えていたベッドの一端は、普段の布団ではなく、グリーンの布で覆われていました。
「やっぱり・・・か」と思う反面、違う部屋に移送されたと思いたかったのですが、たぶんそういうことではなく、そういうことなのでしょう。


今朝、看護師たちが、笑い話で盛り上がりながら、杜若の部屋やベッドを片づけている場面を見ました。看護師たちを非難するつもりは毛頭ありません。医療施設において人間の生死は日常です。いちいち感情移入していたら、それこそ身が持ちません。患者さんや、その家族、関係者の前ではないので、特に問題ないのでしょうが、あまりいい気分にはなれません。
私のように、見ず知らずの人間でも、それなりに気にかけている患者が、他に居ないとも限りません。


だが、このようなことは、ここに限らず医療現場の日常です。是非は別として、やはり、少し考えさせられることはあります。
安藤総理も、地獄のような治療に痛みをこらえている時、彼女たちの笑い声が響くと、やはり、少しだけ腹立たしい思いを感じます。自分の器量の小ささを感じる時でもあるのですが・・・。


とまれ、杜若の部屋の方に「幸福」が来たならば、それでいいと思います。
その方のために、捧げたいと思います。
徳永英明さんで「プライド」