少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

270  広州にて7(チャイナドリーム)

王先生が言いました「彼女は今、投資の仕事をしています」
「と、投資家ですか?」
「そうです投資家です」
「彼女は資産家のお嬢さんだったんですか?」
「いいえ違います。彼女は株で成功してお金を稼ぎました」
「成功したって、いくらくらい稼いだんでしょうかね?」
「それは私もまだ聞いていません。6年ぶりに会いましたから」
僕と王先生がそんなやりとりをしてる間に彼女は「きょうは私のオゴリですから」と次々にウエイトレスに注文をします。
6年ぶりの再会に盛り上がる歓談の中、僕は少しずつ王先生から、彼女についての情報を得るのです。
「どんな株に投資しましたか?」
「中国の株は大きく分けて都市部の大企業と地方の小企業に分かれています。最初は地方の小企業の株からはじめ、そして大企業の株を買いました」
銘柄を聞きましたが、うまくはぐらかされました。で、彼女はもう株投資からは手を引いたそうです。理由を訪ねたら「株バブルはもう終わった」とのことでした。
次に、中国の経済成長が今年、ようやく下降になり、今後の見通しを聞きました。
「中国政府が発表する数字は基本的に信じてはいけません。下降に発表した理由は過剰な投資とバブルを抑えるための中国政府の意図的な抑制コントロールです。中国バブルは現在もなお続いています」と彼女。
つまり投資家はますます儲かるという図式である。この情報が正しければ、まだほんの少しだけ中国投資に利があるが、僕が持つ情報では中国はすでに終焉を迎え、次はブラジルというのが経済界の常識になっている。とまれ、彼女は実際に成功したのだから、彼女の情報は値千金の価値がある。
では、どれくらい成功したのか?そんなナマナマしい話はストレートに聞けない。僕は日本の不動産に投資してみる気はないか、と探りを入れてみた。すると彼女は「中国の静かな場所のマンションに投資している。日本は安いとは言えまだまだ高いから」とかわしてきた。実は、日本のマンションごときに投資する金額ではないということが、その30分後にわかるのだが、彼女の身なりは、普通のおばさんだ。彼女が持っている携帯電話が可愛かったので、いくらか尋ねると「1600元(約2万円)」という。これは中国ではいたって庶民的な金額。スナックのオネーちゃんたちはみな5万円前後の携帯を所有している。
王先生がいきさつを話してくれた。
「実は6年前、彼女はすべてのお金を無くし、私のところへ来ました。どうしても北京に行き、成功したいから飛行機代を貸して欲しいと」
王先生は「返さなくてもいいのよ」と手持ちの5000元(約7万円)を彼女に渡したそうです。彼女は涙を流しながら「必ずお返ししますから」と王先生に抱きついたそうです。
そして6年ぶりに「あの時お借りしたお金を返したい」と王先生に電話が来たのです。王先生は「わかったわ、ありがとう。じゃあ車でバス亭まで迎えにいくからね」と王先生はてっきり彼女がバスで来るものだとばかり思っていたそうです。ところが彼女の返事は「大丈夫です、車もある、運転手もついていますから・・・」
(つづく)