少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

296  auで警官に囲まれる3

「おまわりさん、これっておかしくないですか?」
男は最初に駆け付けたノッポの警官のそう尋ねた。
「そうですね、本官もまったく同じような経験をしました。その時は無料で代替え機を貸してもらったように記憶しております。まあ、もっとも本官の場合auではなくdocomoでしたけど」
「そらみろ、docomoは無料だってよ。それが当たり前だろ」
今度はベテランらしき警官が仲に入る。
「まあまあまあ、それはdocomoの場合ですから、ここはauなんだから、会社によって規則が違うのは仕方ないんじゃないですか」
「何度も言いますが、こちらは不良品を売られた被害者で非常に迷惑を被っているわけです。本来なら、大変申し訳けございません、しばらくの間、使い辛いかとは思いますが、こちらの代替え機でしのいでいただけませんでしょうか、で終わる話。そこに、もし失くしたら弁償しろというのはどういう了見なのか。auだろうがdocomoだろうが、そんなの関係ねえ。そもそも不良品でなければ代替え機そのものが不要なわけで、こんな不毛な時間も必要ない。これは一企業が販売した、あるいは製造したという責任において消費者に対し、被害者にリスクを負わせるという部分に明確な根拠なり納得のいく説明がなければ成り立たない話じゃないですか?違いますか?」
警察官二人はそれからもうひと言も発言なし。
男は女副店長に尋ねた「どうします。おまわりさん来てるけど、告訴しますか?」
「いえ、しません」
「告訴しないということは刑事事件ではないということですね」
女副店長「・・・・」
男「民事なら、おまわりさんは何もすることないけど、どうしてもらいましょうか?」
女副店長「あ、もういいです」
男「こう言われていますけど・・・」
警察官「あ、わかりました」
「最後にひとつだけよろしいでしょうか」と警察官が下手に出る。
男「なんでしょうか?」
「よろしけれな、あなた様のお名前とご住所を教えていただきたいのですが」
男「これは事件でも何でもない。なのにどうして名前が必要ですか?」
「一応、通報があり、駆け付けたので報告書を書かなければいけないんですよ」
男「通報があったというけど、被害者はこっちで、まだ問題は解決していないんですよね。これは任意ですか?」
「もちろん任意です」
男「ならば拒否します」
「そこをなんとかお願いできませんかね、旦那さん」
男「お断りします」
警察官はあきらめた。
結局、男は代替え機の中のバッテリーだけを取り出し、それを借りることにした。これなら万が一、盗難に遭ったとしても保険の適用対象になるからだ。
また、男が激怒した理由はこれだけではない。男が購入したもう一台の中国専用携帯電話も不良品の疑いがあり、これの修理についても、まったく理不尽なことを言ってきた伏せんがあったのだ。
ちょうどその時、知り合いの弁護士から別件で電話が入り、状況を告げた。帰国後、この問題は正式にau本社に内容証明で送りつけてやる。
先ほどの警察官がまだ居たので、レジ袋の中の冷めたコロッケを見せてやった。「そうでしたか、それは大変でしたね。早くお帰りください」とねぎらってくれた。
時刻は7時30分、帰宅すると食卓はきれいに片付けられており、男は冷めたコロッケをひとりむさぼった。
明日からの留守中、金魚にエサをやってもらうため元海軍の五十嵐隊長が来たので家の鍵を渡す。au事件を話すと「auは一番喧嘩を売ってはいけない相手に売ってしまったね」と笑っていた。その通り、ロジカルな喧嘩でその男を負かす相手はそうそう居ない。