707 原爆と原発1
原理は同じだから原発イコール原爆と結び付ける理論はわからなくもない。世の中は原発反対と連呼するが、冷静に考えると、原発はそんなに悪者なのだろうか。
鉄腕アトムは人間の心を持った原子力ロボット。だから強きを挫き、弱気を助けてくれる。悪者を退治する正義の味方。アトムのおかげで人類は何度も魔の手から救われた。
しかし、人間の心を持たない鉄人28号は「敵も味方もリモコン次第」。金田正太郎くんが悪者にリモコンを奪われれば、敵の言いなりだ。
残念ながら、今の科学ではアトムは造れず鉄人28号が限界で、例えば福島原発をはじめとする日本の原発51基は自動制御装置の装着されていない鉄人28号と同じなのだ。
要は鉄人28号そのものが悪いのではなく、誰がリモコンを持つのか、という問題に尽きる。正太郎くんは4年生だから、まだ純心で、権力だとか金儲けだとか、俗世間のことを深く考えていない。ただ自動車の無免許運転は道交法違反で事故を起こしたら大変だ。
問題は福島他51基のリモコンを握っているのが、営利目的の電力各社、付帯企業とそれを目当てにする周辺産業と誘致によって利を得る土地関係者。そして、それを推進しておこぼれにあずかる権利を得る政治家諸君。つまり原発肯定者ではなく原発推進者諸君は何らの利権がらみ。だから話がややこしくなる。不当な利権さえ絡まなければ、原発問題はこんなにややこしくならないはずだ。
もちろん安全性が何よりも最優先だから、今回のように安全性が確保されないまま進められた原発は言語道断で、弁明の余地はあるまい。されど、科学は日進月歩で進歩し、原子力はその成果の賜物でもある。原子力により、様々な恩恵を被ることを忘れてはならない一方で、その負の代償があまりにも大きいことが、わかった今、さらなる被害の拡大は阻止されてしかるべきだろう。
80年代、RCサクセションの忌野清志郎さんの反原発ソングが全放送局で放送禁止になった。そのフレーズの一部は「電力は余ってる 電力は余ってるんだぜ 原発なんていらねえ 原発なんていらねえ」というもの。東電をはじめ各地方の電力会社のマスコミへの広告料は半端じゃない。どうしてか?これは原発に対するマスコミへの「口止め料」です。
(つづく)