少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

294  auで警官に囲まれる

「お客さん、これ以上、机を叩かれますと警察を呼びます!」
笹塚auショップの女店員(副店長)が青ざめた声を震わせる。
「面白い、呼んでもらおうじゃないか。で、どっちの言い分が正しいか、おかしいか司法に判断してもらおう」
約10分後、4人の制服警官がサイレンとともにパトカーで駆けつけ、auショップのカウンターに腰掛ける男を取り囲んだ。
「どうされましたか?」
最初に到着した背の高い警官が女副店長に声をかけた。
「こちらのお客様が大声を出されて、机を叩かれました」
それを受けて警官は男に訪ねた。「どうしてですか?」
男は答えた。「あまりにも対応が悪いので、怒り心頭に達し、我慢の限界を超えましたから」
「いったい何があったのですか?」という警官に対し、男は理路整然と事の顛末を説明した。その一部始終を私は目撃した。
男は5月に中国で携帯を紛失し、新しい携帯電話をこのau笹塚店で70日前に購入した。ところが3〜4日ほど前から充電したはずの電池が24時間持たずに切れてしまう。男は軽い気持ちで何が原因か見てもらおう、と購入先のau笹塚店を訪ねた。本日の午後5時少し前だ。
女店員に事情を話すとメーカーに問い合わせる、20分ほどかかるというので銀行で2つの支払いを済ませて戻ると、先ほどの女店員が待っていた。
「お客様、ただ今お調べしたところ、バッテリーの残量が急激に減って充電してもほとんど無い状態になっております」
「急激に減って・・・ってあんた、まだ買ったばっかりよ、何で?」
「さあ、それがメーカーに現品を送って、原因を調べてみないと何ともお答えいたしかねます」
「うん、まあ、そらそうだろうな。それは構わないけど、ボク明日から中国に行くんだけど、その間は代替え品とか、貸し出してくれるんだろうね?」
「もちろんでございます。たまたま当店にお客様の携帯と同じ機種がございますので、そちらをご用意させていただきますが、それでよろしいでしょうか?」
「それでよろしいです」
とまあ、ここまでは普通の会話。これが6時少し前のこと。
「では書類にご署名ください」という女店員の声に無邪気にサインしていくと、最後の一枚には「もし、紛失、破損などされた場合は損害金として10500円申しつけます」なる項目が登場した。
「おい、ちょっと待ってくれや、何ですかこれは?」
ここから話がややこしくなる。
女店員は無邪気に答える「はい、もしもお客様が貸し出し中の電話を失くされた場合、もしくは破損された場合に10500円をご負担していただくことになっております」
「それ、君が説明しなくてもここに書いてあるし・・・。僕の質問は何で、僕が負担せにゃならんのか?ということ」
「と・・・申されましても、一応このような規則になっておりますので・・・」
「だからその規則の根拠は?」
「根拠と申されましても、規則なので・・・」
「では聞きますが、購入して70日目でバッテリーに異常が見つかった。
これは普通に使用した購入者の責任ですか?それとも不良品を販売したauもしくは製造メーカーの日立の責任ですか?どちらですか?」
「原因をお調べしないと何とも申し上げられません」
「落下も水没もさせていない。少なくとも5〜6日前までは正常に機能していた電話がすぐに電池が無くなる。不良品であるという可能性はありませんか?」
「その可能性はあります」
「大げさに言えば、僕は不良品を買わされた被害者ですよね」
「ハイ」
「もしも、auが僕に不良品を販売せず、まともな商品を販売していれば、ここに来てこんな不毛な時間を費やす必要もなかったわけですよね」
「ハイ」
「本当は、自分の携帯を普通に使うのがベストで、借り物の携帯をいろいろと気を使いながら、使うことのわずらわしさも理解していただけますよね」
「ハイ、理解できます」
「もし、自分の携帯を中国で失くした場合、保険の適用となるので10500円も負担しなくて済みますよね。何故なら僕は保険金を払っていますから。なのに、どうして代替えの携帯を失くしたら10500円も支払うことになるのでしょうか?説明してください」
「いえ、説明と言われましても、一応規則ですから」
「一応規則というには、その規則を作った根拠なり理由があるわけですよね。その理由が納得のいくものでしたら、僕もサインしますが、こちらに何の落ち度もないのに、何故一方的に、それも迷惑を被っている側が、なんとも理不尽なリスクを背負わされる契約書にサインしなければならないのか?と尋ねている。普通に考えればサインはできませんよ。あなたならしますか?」
「いや、そう申されましてもサインをいただかないことにはお貸し出しが出来ない規則になっておりますので・・・」
この時点で、男はまだ、バカを相手にして苦笑いしているだけだった。
(つづく)