元横須賀海軍の五十嵐隊長から電話が来た。「クリスマスなので銭湯に行こうと思う」と。おお、さすがは元軍人、ナイスなアイデアだ。しかし、時刻はまだ７時前。こんな時間から銭湯に行ったら湯冷めするがね。しかし、隊長の部屋には炬燵も電気ストーブも完備だと、やはり軍人は用意周到だな、恐れ入りました。その代わり、ケーキもチキンも食わんのだそうだ。気合がみなぎっている。
そういうわけで、僕もシャワーだけ浴びておこう。不意なお誘いがあればすぐに出れるように、髭くらい剃っておかなくちゃ・・・。で、シャワーから出たら寒い。これは凍死コース・・・だ、というわけで布団にもぐる。少し寝る、起きたのが８時だった。水を飲みに台所に行くと、仮面ライダー２号が焼いた小さなクッキーをくれた。ぼりぼりと食べる。で、テーブルの上の皿にあったので、５〜６個食べたら、それは食べてはいけないやつだったそうで、大泣きされてしまった。
再び居場所がなく、逃げるように自宅を出る。白菜と100円餅の鍋は延期だな。しかし、弱ったな、行き場所ないじゃん。赤坂のクラブからパーチーのお誘いあったけど、会費１万だし、そのあとも女の子と飲みに行けば、またひとり反省会は目に見えているしな。さてどうしようか。
観音通り商店街では人が誰も居ない道で、古本、中古ゲーム屋の店長が「クリスマスセールあとわずかです」と叫んでいる。偉いぞ店長、その意気だ。道には誰もいないけど、頑張る姿を神様と頑張る君自身が見ているのだよアケチくん。よ〜し、俺も頑張るぞ。それにしても人、居ね〜な、この商店街。先月、古本屋の隣の居酒屋も「一身上の都合」とやらで閉店しちゃったしね。
約一時間、笹塚をうろつく。想像したよりアベックは少ない。男も女もひとりで歩いている。その合間を縫ってすれ違うカップルを瞬時に洞察するが、「みんな幸せになってくれ」と祈ってあげたい組み合わせばかりで、このヤローなどと「嫉妬心」が燃える羨ましい美女を連れている野郎が皆無だったことが不幸中の幸いではある。
駅前の自然食品の店を覗いてみる。閉店間際は弁当が半額だが、まだ残っているかな？。残念ながら弁当は売れ切れていたが、その代わりに明日で賞味期限が切れる食パン（通常368円）が特価で100円だった。イヴの夕食は決まった。食パン一斤だ。これに安いワインでもあれば、ちょうど2011年前の聖夜みたいでロマンチックじゃないか。チキンもケーキも指輪もシャネルも、みな商業主義に毒された俗物くんなんだよ、アケチくん。これこそが正しいイヴの過ごし方だと思いませんか？思いませんよね。
でも、結局100円で食事できたので、やっぱりドリカムですよね、これって。パンはぱさぱさしてたけど、噛むと甘味も出て、なかなか美味しかったですよ。２号、まだ泣いているのかな、悪いことしてしまったな、と反省しきりのイヴでした。
