少数派日記

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“安藤総理の少数派日記”

1776 浄土からの声が聞こえる25

佳子の母・美和子につけられた病名は強度の「強迫性障害」だった。


強迫性障害とは強迫症状で、強迫観念と強迫行為からなり、双方が存在しない場合は強迫性障害とは診断されない。強迫症状はストレスにより悪化する傾向にある。
強迫観念とは、本人の意思と無関係に頭に浮かぶ、不快感や不安感を生じさせる観念を指し、強迫観念の内容の多くは普通の人にも見られるものだが、普通の人がそれを大して気にせずにいられるのに対し、強迫性障害の患者の場合は、これが強く感じられたり長く続くために強い苦痛を感じている。

強迫行為とは、不快な存在である強迫観念を打ち消したり、振り払うための行為で、強迫観念同様に不合理なものだが、それをやめると不安や不快感が伴うためになかなか止めることができない。その行動は患者や場合によって異なるが、いくつかに分類が可能で、周囲から見て全く理解不能な行動でも、患者自身には何らかの意味付けが生じている場合が多い。


強迫性障害の患者の主要な問題は、患者の三分の一は強迫観念であり、残りの三分の二の患者は強迫行為である。大半の患者は自らの強迫症状が奇異であったり、不条理であるという自覚を持っているため、人知れず思い悩んだり、恥の意識を持っている場合も多い。また、強迫観念の内容によっては罪の意識を感じていることもある。そのため、自分だけの秘密として、家族などの周囲に内緒で強迫行為を行ったり、理不尽な理由をつけてごまかそうとすることがある。逆に自身で処理しきれない不安を払拭するために、家族に強迫行為を手伝わせようとする場合もある。これは「巻き込み」と呼ばれる。


原則として強迫観念や強迫行為の対象は自身に向けられたものであり、これによって患者が非社会的になっても、たとえば犯罪のような反社会的行動に結びつくことはない。強迫症状の内容には個人差があり、人間のもつ、ありとあらゆる心配事が要因となり得る。また、一人の患者が複数の強迫症状を持つこともある。


美和子には、その症状が、ほとんど当てはまっていた。

(つづく)