少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

1998 安曇野紀行2

晩秋初冬の寒気が標高2800メートルの常念岳の上空で、入れ替わり、秋の終わりと冬の始まりの交換会を行う中、我々、人間様は呑気に朝から酒などをかっくらい、温泉三昧。(写真は燕くろう岳=中房より撮影)

お姉さんたちが貸し切ってくださったロッジには「猿にエサを与えないでね」との張り紙が。「へ〜猿が出るんだ〜」とまたまた呑気に歓談するそばから、猿が外から、我々のロッジの中を窓ガラス越しに覗いている。あちら様からすれば「へ〜人間が出るんだ〜」の心境だろうて。(写真はATI
「猿はエサを与えなければ大人しいんです。本来は自給自足の人たちですから。日光みたいに、観光客がエサを与えると、それを自給自足と勘違いした猿たちが凶暴化して、自給自足に必死になって人間を襲うのですよ」とは後日、親切にしていただいた地元のご婦人の話。猿の山に後から、人間様がリゾートしたのだから、あちら様からすれば、「挨拶のひとつもなく、失礼千万な人間」と映るだろうて・・・。

さてさて、本屋のお姉さん&愛読者様の人脈で集まられた人々は異種多様な職業や知人・親戚の方々。中でも、大手信用金庫の元支店長さんが振る舞ってくださった「手打ち蕎麦」は逸品中の逸品。岐阜の自宅菜園で、蕎麦から栽培するという本格派。クマちゃんなど「今まで食べた蕎麦の中で、一番ウマいです」と何故か小さな声でポツリ吐露。何か苦しいことでもあったのか?それとも遠慮勝ちのシャイな好青年を演じているのか?身長188センチの巨熊のくせに、周囲の方々の年季に圧倒された感じ。
総理が「みんなに聞こえるようにもっとデカい声でいいなよ」と促すと、そら元支店長さんも「そのひとことが聞きたかった」と大喜び。「夜はうなぎ焼いてやるでよ、待っとってちょ」と大張り切りでねじり鉢巻き(ホントだよ)。

おい、クマちゃん、夜はウナギにありつけるらしいぞ、と欠食児童のくせに何故か巨漢の猿二匹が紛れ込んだロッジ。平均年齢100歳未満の数字を、ひとり40代の熊ちゃんが下げていると思いきや、「蕎麦大好き人間」の安藤総理が、その日本一の蕎麦より感動したのが、な、なんとそこに19歳のじょじょ女子大生が・・・。


おっさん、おばさん、で大盛況だった、安藤総理の裏落合GM話と、下ネタは突如として中断。いったい、目の前にいる19歳は道にはぐれて、このロッジに辿り着いたのか・・・という感じ。猿の惑星に、過去からやってきた人類なのか、ロッジに集うその他すべての生息者とは、まったく別の種の生物に見えたのは、総理とクマちゃんだけだろうか?
ちょっと前、笹塚の自宅に、セーラー服姿の女子高生が自然に入っていく姿を目撃した時以来の衝撃。そのセーラー服姿の女子高生が仮面ライダー1号だと気付くのに、少しだけ時間がかかり、動揺したことを覚えている。


結局、ザル蕎麦二枚、鴨なんのつけ蕎麦一枚の計三枚をご馳走になりました。美味。
さらにさらに、愛読者さまが持参してくださった愛知は新城の銘酒、幻の酒「空(くう)」を日本蕎麦と一緒にいただけるなんぞ、日本人の食通でもかなり限られた人種のみのはず。この銘酒、かつてANAが、中部国際空港からトヨタ様の重役様専用のために名古屋ー広州間を飛ばしていた特別機(通常のファーストクラスのシートがビジネス料金で、ビジネスクラスの仕様がエコノミー料金。つまりエコノミークラスのシートはなし)のスペシャルサンクスとしてANAが搭乗者にANAラベルの「空」を機内のみで振る舞いました。
本来、トヨタの重役様のために用意された機でしたが、全国の航空機ファン、ANAファン、日本酒ファンの予約が殺到し、当然ですが、広州へ行く安藤総理も、この便がとれた時に限り、成田ではなく、新幹線を使い名古屋経由で広州へ飛んだもんです。あまりの予想外の人気にANAも困惑したのか、サービス過剰で採算が取れなかったのか、わずか2年で廃便。間違いなく、総理の中では史上最高の旅客機。まるでプライベートジェットのような機種でした。最終運行ぎりぎりに予約が取れ、母親を乗せてあげることが出来ましたので、これが最初で最後の親孝行です。もう、八年くらい前の話ですけどね。


さて話は19歳・・・ではなくて「空」に戻りますが、残念ながら、「空」を差し入れてくざさった愛読者さまは、お酒をやりません。したがって「空」のありがたみを、さほど心得ていないような話しぶりでした。「もらったんだけど、誰も飲まんで、家にずっとあったもんで・・・」。
これは、猪瀬都知事の「5000万借りたけど、どこで受け渡ししたか、よう覚えとらん。借用書?あったと思うけど、どこにあるかわからん」との回答とほぼ同じレベルの「空」の扱い。いささか、不穏な流れを感じざるを得ませんでした。


当方YURIのこともあり、いささか日本酒にはこだわりたいクチ。「いんや〜、さすがはクウですね、やっぱ美味いわ」と一献さえこぼさぬように注ぎ、舌鼓を打ちましたがごめんなさい愛読者さま、あの「空」は、すでに逝去(ご酸化)されておりました。
同じ日本酒でも「空」ほどの銘酒なれば、そらもう高級ワインなみの取り扱いで、できれば地下の、天然のクーラーで保存していただくのが理想的。総理の推測ですが、おそらくふた夏は常温で過ごされた「空様」のようにお見受けいたしました。愛読者さま、申しわけございません、次回は活きのイイ空様を一献、馳走に預かりたいと存じます。

19歳は、この次ね・・・・
(つづく)