2302 横浜のたそがれ
♪横浜〜たそがれ〜収容所の大部屋〜
脱糞〜残り香〜オナラのけむり〜♪
ブブゥ〜〜〜ス 尻拭き〜〜 オトコのなみだ〜♪
隣の患者は 逝って逝ってしまった!
隣のジイさんは 逝って逝ってしまっ〜た〜!
もう帰ら〜な〜い〜♪
マジです。
作詞した山口洋子氏も逝ってしまいました。
平井堅ちゃん風に・・・
♪朝、目覚めるたびに〜
爺さんのぬけがらが、横にいる
苦笑いをやめて、薄いカーテンは開けない〜
うるさすぎるイビキ〜
僕も負けずに 反撃〜いだァ〜!
なんて・・・マジです。
同じ時期に入院されていたブログ仲間の白魔女さんは、同じ横浜でも国立病院様。6人部屋を4人で使われていたようですが、超庶民派の安藤総理の部屋は、逆に4人部屋に6人、いや8人を押し込めたような「押し競(くら)饅頭病棟」。マジ、薄いカーテン一枚で区切られた収容所という名にふさわしい「施設」です。
イビキはお互い様だから、仕方ないです。
まあ昨年、4カ月入院した軍人病院に比べれば赤ちゃんのようです。あの時は、若い兵隊さんが多く、毎晩、暴走族の爆音のようなイビキに悩まされ、時には、今度こそ、F15戦闘機が突っ込んできたか・・・と、思うような地響きに、眠れない日々を過ごしました。しかし、今回は、ややもすると、自力呼吸もやっと・・・というお爺さんばかり。
イビキよりも、タンがノドに絡んでむせぶ音や、呼吸が一時停止して、再び復活する時に、咳き込む音。苦しい〜、痛い痛い痛い〜、運子〜と叫ぶ、魂の声というか、ソウルボイスがハンパではありません。地獄の一歩手前・・・といった感じです。
問題は6人部屋の私以外の5人全員が、自力歩行不可能なこと。うち、3人が自分で寝返りすら打てず。つまり5人全員が雲国際さま。要おむつ組です。
日に、ひとり4回〜5回のおむつ交換があるので、一日で述べ20〜25回の、おむつチェンジです。平均すると一時間に一度ですね。
で、薄いカーテン一枚でしょ、4人部屋に6人ですから、かなり気密性の高い空間になるわけですよ。
で、敵は、寝たきりですからね、そら手強いですよ。
遠慮なんてないですから、食事時でもなんでも、お構いなしに、あっちでブリブリ、こっちでビリビリと無差別テロですわ。快音というか不快音というか、まず聴覚を刺激して、それから時間差で臭覚を攻撃して来ます。エアコンの風向きで、被害の度合いが違います。第二次世界大戦で使用された風船爆弾とも違うし、ベッドの下からモワ〜とくる感じです。
地下鉄サリンは無臭でしたから、知らずに吸って神経細胞をやられましたが、こちらは、かなりの有臭なので、すぐに気が付きますが、それはそれできつく、就寝中は吸うと、咽(むせ)て起こされるし、読書中は目をやられてしまいます。
特に深夜、両隣りの雲国際さまが、同時多発テロのエックス攻撃を仕掛けて来た時は、寝返りで左右も向けず、かといって上も向けず、うつ伏せは出来ずの四面楚歌の防御不能。布団防空壕に隠れても、布団は所詮は繊維の集合体ですから、その隙間を縫って、雲国際さまたちの胎内から放たれた、酵素化された食物の微粒子が気化され、空気伝導で、我が鼻孔に到達せしめ、脳の神経細胞まで至ると、全神経が、「この臭気はキケンである」と反応し、全身が拒絶反応のため痙攣するのです。エレキテルでしびれた感じです。やがて意識が朦朧としてきます。
しかし看護婦というプロフェッショナルは「あら〜これは酷い・・・背中までいっちゃってるわよ」と一人が言うと、相方が「あら、あんた、こんなのまだマシよ、アタシなんか・・・」と深夜にも関わらず、雲国際処理自慢話で、ケラケラと盛り上がる。流石にプロ中のプロですね。
「あ〜」「う〜」しか言えない爺さん相手に、冗談語りながら、サッサと片づけ、一丁あがり。白衣の天使は去り、老人と臭気は残る、そして私が吸う。これ即ち地獄の構図。
それが嫌なら、ゼニ払って個室に行け!
と言われても、4人部屋は差額ベッド代1日3000円。5人の雲国際が3人に減るだけで根本的な打開にはならない。かと言って、完全個室は1日3万円。料金だけは、ホテルニューオータニのスタンダード並で、内臓が破裂してしまう。
まあ、いずれ、この私も、間違いなく雲国際一直線。予行演習だと覚悟を決めて諦めるしかなかろうて、と自身を慰める日々。これには多くの人が心を打たれた。
それより、明日の朝、目覚めた時に、隣の雲国際さまが、息をしているかどうか?
とりあえず、そちらがマジに心配です。