４月13日、22時45分、成田空港発新宿行き最終バス、乗客はわずか３人。僕の他の２人は箱崎ターミナルで下車。そこから新宿までは、僕と運転手の２人きりになった。ここからは僕と運転手さんの会話。
「やっぱり、これも地震の影響ですか？」
「そうですねえ〜、まあ、最終はいつもこんなもんですけど、昼間がねえ〜。やっぱりお客さんが激減りですね。特に外人さんが、ぜんぜんですね。もうヒドい状況ですよ」
「そんなにヒドいですか？」
「うちもそうですけど、特にホテルなんか、もっとヒドいでしょ。聞くところによると３割も埋まってないみたいですよ。もうキャンセルキャンセルで・・・。ウチはディズニーランドが閉鎖になっちゃったもんで、そっちの運行がまったくできなくて・・・」
「ディズニーランドもダメですか？」
「駐車場がねえ・・・、液状化で20㎝も砂が出て、もう車が停められん状態なんですわ」
「そりゃ、ヒドい。20㎝ですか。運転手さんとこは大丈夫だったんですか？」
「はあ、お陰さまでウチは大丈夫だったんですが、同僚には東北出身者が多いもんで何人かは被災した者もおりますわ」
「そうですか〜、そりゃ大変だったですね。僕は中国にいてＮＨＫの映像しか見れませんでしたけど、実際には凄かったんでしょ」
「たまたま、同僚で、震災後に写真を写した者がいましてね、それを見せてもらったんですけど、そらもう、ご遺体の山、山、山ですわ」
「え〜マジですか？」
「はい、そらもう凄かったですわ。私もあんなの初めて見ましたけど」
「その方はどうして写真を撮られたんですか？」
「それがですねえ・・・やっぱり、虫の知らせだったんですかねえ」
バスの最前列に陣取っていた僕は、運転手さんの斜め後方からググっと首を出した。（つづく）
