少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

1900 浄土からの声が聞こえる32

第29話(04/14)では、半身不随の母・美和子が、強迫障害に陥った、劣悪な避難所生活の様子を記した。
一部を抜粋します。


第29話より・・・


屋外では、雪さえ舞う東北の極寒。暖房はない。配られたのは日に、ひとり2枚のホッカロン。人々はこれを宝物のように抱きしめ、幼い子や、老いた親がいる人たちは、自分の分を弱き者たちに与えていた。

拓馬と美和子が辿り着いた町の公民館。板の間に高い天井が冷気を一層強めた。隙間風防止のため、ガムテープを張って密閉した室内は、換気されず、逆に酸欠状態を招いた。

ただでさえ薄い酸素が、人々の脳内を完全に麻痺させ、高い天井から日に日に降りて来る重圧、それは人々の怨念や苦痛、不平不満、悲観絶望が空気に溶け込み、はっきりと個体のようになって、人々の手に届く位置まできたようだった。 

同じ被害を受け、家族を、家を、仕事を、同じように失っても、補償や待遇にこんなにも、地域格差が出るのか・・・という不可解な現象は、震災から二年以上経過した現在もなお続いている。


(中略)



男どもはみな、女、子供、老人をはねのけ、食糧を奪い合うだろう。それは自身のためではなく、自分の家族のためだ。醜い姿。だが、これが生物としての人間の本性であり、本能でもある。北朝鮮、中国、韓国、ロシアが、何故、領土略奪に執着するのか、まったく同じ論理でもある。

声高に「道徳」と「秩序」を叫ぶ女が現れ、「暴動」を必死で止めようとする男が現れ、物語りは、彼ら彼女らを「勇者」と名付けるかも知れない。しかし、餓死寸前の幼子、老親を前に、勇者になれる精神状態のリーダーは少数で数の論理で圧倒され、秩序も正義もなく、単なる力比べが展開される。食糧の配給が、あと二日、いや、あと数刻でも遅れていたら、そんな流血が起こりそうな、危機的な状況下にあった。

(つづく)


このあと、物語はクライマックスへと向かいます。