三軒茶屋から小田急バスに乗り代沢３差路下車。500円のジャンボハンバーグ屋で特大ハンバーグ定食を喰らい終わった、元帝国海軍・五十嵐隊長と落ち合う。かつて僕が７年間経営した下北レトロコレクションの築80年近いレトロアパートはすでに取り壊され、そこに７階建てのビルがおっ建っていた。
そこの家主・Ｔ崎氏が路上にいたので挨拶する。僕より一歳年下の彼も元骨董屋だが、今はビルのオーナーで憧れの家賃収入主だ。そして、西洋アンティークの「ケンジントン」のオーナーＮ井氏も店の前にいた。
オッサン４人は路上でしかめっ面に腕組みで不況、震災、どうにもならんと、うなるばかり。いい話題は何ひとつない。みな生き残るだけで精いっぱいだ、トホホ・・・。それにしても懐かしい顔ぶれだ、当時は毎日のようにお目にかかった面々なのに・・・。
「ケンジントン」の隣の和骨董「月天」はお休み。聞けばしばらく閉まったままだとか。さらに少し先の小物アンティーク「木曜館」は相変わらず営業中だ。ここは息が長い、もう20年くらいはやっているんじゃないかな。
骨董関係者は自分を含め、偏屈で協調性のない人間がやたら多いから、実はみな、あまり仲がよろしくない。ただ木曜館のママさんとは気が合う仲だが、もうしばらく会っていない。店はほとんどバイトの子に任せている。
その木曜館の前に数年前に出来たのが「タイムマシーン」。ここのＴ島ご夫妻とは、特に親しいわけではないが、よく同じ催事に出店し、扱い
商品が同じ系統なので、興味深く、商品を見させてもらった。こちらも知り合ってから長い付き合いになる。
店主のＴ島さんが昭和シェル石油の会長さんと知り合いで、その関係から入手したという非売品のフェラーリのポロシャツをゲットした。これは愛知県豊明市の古久根モーターズのコレクションに寄贈することにしよう。
さて、僕と五十嵐隊長は「お茶でもすっぺ」と若者の街・下北を肩で風切りのし歩く。比較的安い珈琲のあるイタトマＪｒの狭いテラスで、オッサン２人は何を話すこともなくヒューマンウオッチ。己らのことは完全に棚に上げて「冴えないツラした奴らばっかだな」とボヤッキ―。
テキトーに近況を報告し合い「これからどうすんのよ」と51歳の二人は今年は52になっちまう。
とりあえず五十嵐隊長は明日から自衛隊の富士演習場で、相変わらず武器商人。おいらはどうしようかな・・・。おっとレッドキングＦ島から「下北に着きましたけど・・・」と電話が・・・。
「んじゃ」というわけで、五十嵐隊長は武器の手入れに下北南口の事務所へと立ち去った。
