少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

626 魔法の黒い靴

今日で4月も終わりです。話を4月15日に巻き戻します。
下北沢、イタトマJrで海兵隊・五十嵐隊長と別れたあと、僕はレッド・キングF島と地下駐車場のある、タウンホールで合流しました。
僕の右足のためにF島が苦労を重ねてこしらえた「魔法の黒い靴」。チューリップの名曲をもじったのだが、わかって下さっただろうか?
僕の右足第二指の関節の骨は溶けてもうない。されど、切断を免れ、M嶋医師によって削られた骨は驚異的な勢いで成長している。しかし、それはもろく折れやすい。日常生活において、ささいなこと、ふとしたことで、第二指を曲げると、骨折し、またそれが悪化する恐れがある。だから、常にギブスのようなもので固定しなければならない。すると今度は靴が履けなくなる・・・という構図だ。
そこで、大学受験予備校、安曇野のATIの同僚のレッド・キングが僕のために、特別のブーツをあつらえてくれたというわけだ。
レッド・キングの本業は猫殺しのミュージシャン。暇さえあれば、猫を殺したり、もしくはギターを弾いている・・・というのは半分冗談で、「横手ジャパン」という靴メーカーのお偉いさんだ。
横手とは本社のある秋田県横手市の地名。ジャパンは安価な労働力や、粗悪な製品を善しとする中国での生産を潔とせず、全行程を国内で行うという頑固な姿勢を貫く意志表示に他ならない。
「魔法の黒い靴」はソールに特殊な銅版を忍ばせ、自然な形で僕の指が曲がらぬように下からギブスの役割を果たしてくれている。さらに両足ともつま先に特殊合金を入れ、工事現場での落下、あるいは東京ドームでの乱闘でも大丈夫なように安全靴仕様になっている。見事な逸品である。
レッド・キングは以前、リューマチ患者さんの靴を特注であしらえたことがあった。僕はそれをビジネスにしたらどうか?と勧めたが、とても時間、労力、コストがかかりすぎて、ビジネスにならん・・・ということだった。つまり、患者それぞれのニーズが違い、基本、オーダーメードなので量産ができない、というわけだ、なるほどな。
本来は婦人靴専門だが、医療用シューズにも精通している。何度も試作を繰り返して造られた「魔法の黒い靴」。2週間、履き続けているが、これは凄い。ソールの分、やや靴底が厚めに出来ており、目線が上がりいつもと違う景色が、また楽しい。
DrM嶋といい、レッド・キングF島といい、まさか、こんな形で世話になるとは思わんかった。
30年前のあの雨の深夜、ATIでのこと。宮尾という受験生がプレッシャーに耐えきれず、穂高山中にある校舎兼合宿所から脱走した。僕とレッドキング他何人かが、山林で首でも吊ってんじゃないかと、自らも沢に転落しそうになりながら、捜索したが、朝までに発見できず。
そのころ、宮尾が単身で沢を登り、山の中腹に一軒だけある中房温泉であったか〜い温泉につかり、まさかのビールまで飲んでいたとは・・。人生は本当に何があるかわかりません。「魔法の黒い靴」の履き心地など、また報告します。