958 久遠の九官鳥
きょうもまたベイベイに会ってきました。
祈福新村の「善人商店」のアイドル、九官鳥のベイベイ君。
「ある日、どこかから飛んで来て、うちの息子がピザをあげたらついてきたんです」(善人商店のAさん)。その日から店に居座るようになった。それが写真の子。
「最初のころは飼い主が現れたら返そうと思ったんですけど、今はもう家族みたいで、その時はちょっと考えちゃいますね」とAさん。
一日に1〜2回はドアを閉め、店内で自由に遊ばせ、シャワーも浴びさせるそうだ。九官鳥の中国名は「八哥」。名前の由来は「少数派日記」(2011/2/12上海奇譚4 2/14上海奇譚5)で少し触れた。上海の路上で豚肉を食べる九官鳥を見たが、ベイベイは酒を飲む。
この日(3/6)も、僕が病院を抜け出し、AさんとちびちびやるハイネケンをAさんの小指から一滴ずつもらい、相伴してくれた。
「とりあえず、ここでお客さんが飲食するものは口に入れてみたがるんですよ。で飲み過ぎて、止まり木に捕まりながら酔っ払いみたいに身体が左右に揺れているんですよ」う〜んウイやつ。
「九官」とは中国・舜時代に定めた九つの官名。広辞苑には「舜」が古代としか出ていないので、日本の何時代にあたるか定かではないが、これが礎となり、日本の官庁が確立され、その瞬間から現在に至るまで官と民の終わりなき冷戦が世界中のいたるところで続いている。
だから、「九官」という名がいいのか悪いのか僕にはよくわからない。
数年前、広州の軍関係の病院に日本人移植患者をお連れしたことがある。
まったく「無」の状態から中国語もろくに話せない僕が日参して何度も門前払いを食いながら開拓したルートだ。思い入れは深い。そして患者に与えられ部屋が「909号室」。
数日後、患者が僕に「苦情」を漏らした。「どうして909号室なのか。縁起が悪い。日本では苦しむ=9。日本人だから意地悪されたのですか?」
僕は担当医に相談した。「中国では9=久遠の命。病院では最も縁起のいい部屋なのです。安藤さんが一生懸命にやってくれたので、あなたの患者のために、最高に縁起のいい部屋を用意しました」
その時まで、僕も知らなかったが、つまりはそういうこと。患者さんは大喜びでした。実際、香港では車のナンバーに「8888」「9999」は1000万円以上の高値で売買されています。
肉体はいつか滅んでも魂は久遠(=無窮むきゅう)。これすなわち輪廻転生、すなわちスピリチュアル世界。9という文字に秘められたブッダの教えのひとつ。
「オウム(九官鳥も)は長寿で、たいがい飼い主の方が先に死んでしまう。だから中国にはオウムの飼い主の品評会があるんです。・・・といっても人間がオウムを選ぶのではなく、オウムの方が飼い主を選ぶんですよ。この飼い主の経済状況は万全か?自分より長生きできそうか?オウムの方がわかるそうです」
骨董の仕入れで広州に来ている拾得さんが、歩きながらそんな話をした。
「少数派日記」NO999回記念。筆者から読者の皆様の「久遠の健康」をお祈りします。
おまけ映像1・祈福新村「善人商店」こんな感じです。
おまけ映像2・本日の僕の昼食。
手前左、溶き卵とトマトのあんかけ風炒め。中、豆苗(トウミャン)とピータンの蒸しもの。右下、白身魚の油蒸し薄醤油仕立て。玄米ご飯と蛙肉たっぷりの薬膳スープ。
1000カウントダウン、ついに「1」
ありがとうございました。