東京の朝は少し寂しい
水曜日はリサイクルゴミの日
一週間ほど出番を待っていた再利用候補選手たちが
これからトライアウトの末
また新しい何かに生まれ変わろうとしている
次に会うとき それが君たちだったとは
おそらく誰も気づくまい
木枯らしで吹き溜まった落ち葉を掃く
突然 枯葉の毛布をはがされた小さな者たちが
右往左往と逃げ回る
どうせ この毛布では冬は越せやしない
早く土の家に帰ればいいものを
ここはTokyoコンクリートキングコング
君たちの住むところではない
そういえば暑い夏
蔦の梯子を猛スピードで駆け登り
我が家の二階のキッチンで食糧を
集団強奪した あの黒い連中も
最近ではもう見かけない
奴らの身長からしたら 二階は高山の位置
酸素ボンベもつけずに ようやるわ
ちいさな玄関前だけど
それでも枯葉を掃くと かなりの量だ
君たちも 山で散れば 土に還れるのに
Tokyoで散るから ダイオキシンと灰になる
砕けたカケラは埃になって
クイックルワイパーの恋人になる
悪いけど 有難迷惑だから 排除するよ
遊歩道を何匹もの子犬たちが行き来する
み〜んな秋物の衣装をまとい
得意げな表情で ジャージ姿のだらしない
おじさんを見て おまえはバカか・・・と
投げかけ 去っていく
かわいい おしゃれさん・・・
今朝も6:30のラジオ体操に間にあった
静かな朝に 救急車がサイレンを鳴らし
路地を曲がった 無事でありますように
どうせ 8時まで キッチンには入れない
空腹を紛らわせるため 日記を書く 水も飲めない
あと少し・・・
最後の枯葉を ビニルに入れると
玄関から 仮面ライダー1号が出てきた
「行ってらっしゃ〜い」とジャージ姿は声をかけた
「うん」と小さな声で頷いた
昔はチャミーの散歩に早く行こ行ことせがまれた
古き良き時代よ
Tokyoの冬は毎年来る きっと永遠に
仮面ライダー1号が セーラー服姿の
お姉さんになっていた
あと少しで午前8時
ようやく朝食にありつける
メニューは期限切れセールの半額で購入した
レトルトのおかゆ
メルヘンな朝に無粋な一行
これが少数派日記たるゆえん
それでも
麻梨花ちゃんの竹灯りに癒された朝は
ジャージ姿も こんなポエマーになる