2878 ジモ友、永田や仏壇店にじさま。
11/29-16
おはようございます。
地元にはいろんなヤツがおる3。
昨日のこと、車で道に迷った。
当時の交通手段は徒歩とチャリとトヨジのバイクくらい。
通学路とツレの家に行く道しかわからない。
そこで永田やに出くわした。
当時、愛知県の男子学生の朝の挨拶は「オッス」とか「うぃ〜す」ではない。
「欲しいの〜」
「決まった〜」
と互いに言ったあと、「永田やだ〜永田やだ〜永田やだ〜」と読経する。
他県の人には何のことだかわかるまい。
ドラゴンズの黄金バッテリー星野仙一x木俣達彦、泣く子も黙る。
永田やの社長と木俣さんが旧知だそうで、永田やのCMに黄金バッテリーの起用が決定した。
内容は永遠にくだんの「永田やだ〜」という読経がBGMとして流れ、
いきなり星野さんが「欲しいの〜」と言うと、阿吽の呼吸で、木俣さんが「決まった〜」というだけの声の出演。
地球一シンプルなCMとして世界中の注目を浴びた(はずだ)。
そこで少年ドラゴンズの挨拶は、冒頭の「星野〜」「木俣〜」となったのです。
で、ようやく私は、当時から念願だった憧れの永田やに初来店。
うわ!来て良かった、こんな田舎に仏壇の海。
仏壇、仏壇、また仏壇。線香の香りにも癒される。
整然と並べられた終の住処に一分の隙もない、嗚呼癒される。
死後の感傷に浸っていると、支配人らしき男性に声をかけられた。
スーツを着こなし、凛とした背筋で立っていた。
「お客様、もしかしてドラゴンズ様?」
「確かに、一時期、ドラゴンズと呼ばれたことはあるが、様をつけられるほど、たいそうな者ではない。ただの流れ者です」
「本日はわざわざ東京から?」
「むむ、いかにしてそれを?」
支配人、なにやら私のことを知っていると見える。
当方も何気に見覚えあるような気もする。誰だ?
「本日はお仏壇のお買い求めに?」
「う、いやまあ、そう、下見ね。自分が入るやつ」
「そうでしたか、それはありがとうございます。お客様でしたら立派な体格されているので、こちらの大きめなものがよろしいかと」
「うむ、苦しゅうないよ。ん、450万円?ちょっと苦しいかな。マルひとつ少なめでね」
そ、それにしても荘厳。いったいどんだけあるの〜の世界。
仏壇なんて、どれも同じと思っていたが、そら大きな認識不足。
仏像コレクターとしても赤面の極み。とにかくすごい、1000万、2000万クラスがゴロゴロ。
「ところで、チミ、あいにく今日は持ち合わせが少ないけど、将来、億万長者になる可能性もゼロではないので、一番の高額仏壇を見せてはくれんかね」
「ようがす。では、こちらへ」
支配人は颯爽と私の前を行く。
「こちらでございます」
「イチ、ジュウ、ヒャクセンマン。ニッキュ〜パ〜と言っても2980円じゃないよね」
「2980万円にございます。よろしければお手に取って」
「いや、重そうだから遠慮しとくけど、これ星〜野」
「木俣なら、お取り置きしましょうか?」
FBFの皆さんも、見たらきっと住みたくなりますよ、2980万円。(撮影禁止でしたが、支配人にお願いしてワンショット)
ちなみにここら辺りで3000万円も出せば、30坪くらいだけど、新築一軒家が手に入ります。
私は来店記念に線香2箱を購入。永田やをあとにした。
「支配人はこの仕事、長いのかね?」
「かれこれ20年」
「その前は?」
「いろいろあったけど、話すに至らん」
「そうかね・・・」
わざわざ車まで見送ってくれた。
誰だったのだろう、支配人。
そういえば、あんまき高校時代、学生家庭教師として、私の理数系の家庭教師をしてくれた男に似ていた。
彼は同級生で「じさま」(三河弁=おじいさま)と呼ばれていた老人(老師)。理数系人間で、数少ない国立大学受験組。私は何度かじさまの家を訪れ、泊まり込み合宿で勉強を教えてもらい、鳥鍋を馳走になった。
もし支店長が彼だったとしたら、あの頃より、とても若く見える。
あんまき市のベンジャミン・バトンとは、もしかしたら彼のことかもしれない。
「ところで3000万の仏壇、買う人いるの?」
「そんなしょっちゅうは売れぇへんけど、たまにおるよ」
たまにおるんかい!
みんな頑張ってるな〜!